これは相場に限ったことでもないでしょう。
水泳に例えれば、フリー(クロール)はインターハイ・レベルだけど、バック(背泳ぎ)では県大会レベル、ブレスト(平泳ぎ)は膝が堅くて市民大会レベル、バタフライは腰が悪くて泳げないという人がいるのと同じです。
個人メドレーの選手はすべてに秀でているように見えますが、個人メドレーでオリンピッククラスだとしても、各種目でオリンピッククラスかと言えばそうではありません。彼らはバランス(総合能力)が高いのです。
向かない(向かないかもしれない)ことに固執するよりも、すべてに秀でようとするよりも、まず自分に合うもの(指標)を見つけてみたいものです。
自分に向くテクニカル指標を見つけてみよう
まず1つ、自分に向いていると思われるテクニカル指標を見つけてみましょう。
ここで勘違いしてはいけないのは、「自分に向いている指標=自分が以前に勝ったことがある指標ではない」ということです。
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個人投資家には、「以前にその指標で自分が(大きく)勝てた指標=好きな指標=自分に向いている指標」と思われている方が非常に多い気がします。
それが間違いだとは言い切れませんが、できればそれに加えて 「その指標を使って、適切と思われるところで利食い・ロスカットが過去にできた指標」 であるものが理想的です。相場は売買でワンセットです。買うことはできても売れない指標、売ることができても買えない指標では、まったく意味がありません。
大勝した時の思い出を引きずって、得意な指標と勘違いして使用を続けることほど、恐ろしいことはありません。第12回の記事で書いた主婦と同じ道を歩むことになります。
どんなにテクニカル分析を極めても(極めたつもりでも)、ダマシに会うことはあります。
「この指標が好きだから」「これで以前に大勝ちしたから」、テクニカル分析で(テクニカル分析をした気になって)大きく負ける人の典型的なセリフです。残念ながら、好きという気持ちと、過去の美しい思い出は、現在の相場とは無関係なのです。 FX
「自分に向く(軸とする)テクニカル指標=ロスカットが過去にできた指標」と考えて、まずはそれを見つけ、使いこなすべく勉強と努力をしてみましょう。
軸になるテクニカル指標が決まったら…
残念ながら、単独で機能するテクニカル指標というものは、(言い過ぎかもしれませんが)存在しません。単独のテクニカル指標とは、一枚の洋服のようなものです。
例えば、ボリンジャーバンドがいくら得意な方でも、ボリンジャーバンドというシャツ一枚で外出(売買)する人はいないでしょう。
ローソク足というジーンズ、ストキャスティクスというジャケットくらいは羽織っておきたいものです。あっ、もちろん相場の基礎知識というパンツは忘れずにはいておきましょう。
貴方は、相場で買った記憶と、負けた記憶、どちらが強く印象に残っていますか?
昨年末と古い話ですが、報道番組でパチンコ依存症の患者のドキュメンタリーをやっていました。相場で負けている方にも当てはまりそうな話ですので、(悲しい話ではありますが)取り上げてみます。
その患者は、中年の女性だったのですが、週5回、8年にわたるパチンコ生活で、旦那に内緒で700万円超の借金をパチンコの負けで作ったとのこと。 FX
その女性が言うには、「一日で10万円勝つこともあるのよ。一番大きく勝ったときには、一日で26万円…」云々というものでした。しかし彼女に残ったのは、700万円超の借金。
彼女の口から出るのは、勝った時の話ばかり。700万超の負けに関しては一切出ませんでした(番組の編集でカットされただけかもしれませんが)。そして、結局彼女は入院の処置となり、3ヵ月間一般社会から隔離される羽目に。
人間の心理として、よかった時の記憶は鮮明に残り、悪かった時の記憶は希薄化すると言われていますが、彼女はその典型に見えました(番組の編集により、そう見せられたといった方が正確かもしれませんが・・・)。
あなたは、相場で買った記憶と、負けた記憶、どちらが強く印象に残っていますか? おそらく、相場参加者も、買った記憶は強く残り、負けた記憶は忘れたいという意識から忘却の彼方へという人が多いのではないかと思います。
負けている投資家の心理・思考FX
ようやく底入れと言ってよさそうな日経平均ですが、昨年7月末からの株価の下落に続く下落で、わずか数か月で自己(投資)資産が大きく目減りした方も少なくないと思います。
そのような状況に陥った投資家の心理・思考は、大きく分ければ、以下の2つのパターンに分かれます。
どうなるか判らない、どうしていいか判らない、オーバーシュートとして見送る(休む)、ナンピンする、ロスカットする、という方も、大別すれば、このどちらかに含まれると思います。
わずか数か月で資産が大きく目減りしたのだから、今後の数か月で大きく取り戻せる可能性もあると考えた方は、「これだけ負けたのだから、これだけ取り返せるハズである」という発想なのでしょう。これは相場において危険な考え方です。前述の、旦那に内緒で700万円超の借金をパチンコの負けで作った女性と似た思考といって良いかもしれません。
第10回の「相場の組成・確率から考えてみる」にも書きましたが、相場では「上昇・下落の確率、上昇・下落の値幅は、1対1の対応関係にはなっていません」。つまり、「負けた金額分を、同じ時間、同じ労力で取り返すことができる」 と考えることは、非常に無理のある考え方と言えます。
相場において、「失うことは簡単でも、取り戻すことは非常に難しい」
「そんなことはない。私はこれまで負けた分を取り返せてきたのだから、今回も取り返す自信がある!」という方もいらっしゃるでしょう。
中には、そういう方もいらっしゃることは事実でしょうが、「誰にでも、取り返すことは可能か?」、「継続的にそれは可能か?」と言えば、それは難しいと考えざるを得ません。
相場において、「失うことは簡単でも、取り戻すことは非常に難しい」ということを数字で見てみましょう。
これだけでは、分かり難いですね。では、分かり易いと思われる、「投資資金が50%目減りした(負けた)」場合を、株式投資を例として、取り上げてみましょう。
100万円を投資して、その銘柄の株価が50%下落し50万円になった場合、株価が倍にならないと(100%上昇しないと)、元金に戻らないということです。
50%の下落と100%上昇、どちらの確立(可能性・難易度)が高いかを考えれば、そして、表を見れば、損失金額が大きくなればなるほど、それを取り返すために必要な利益率は高くなり、「取り返すことが難しくなる」ということがお判りでしょう。
塩漬けになった株が、なかなか買値まで戻せないのも、失った資金が、なかなか元の資金額まで戻らないのも、こう考えれば頷けるのではないでしょうか。
「株式取引ではパーセントで考えるのも分かるが、先物ではTICKで考えた方がいいのではないのか?」と仰る方もいらっしゃると思いますが、日経225先物とは、日経平均採用の225銘柄から成り立っているものであり(第2回記事参照)、やはりパーセントで考えることは(特にトレンドフォロー派には)必要と思われます。
数字に強い方は、「単純な変化率の一種の錯覚」、「対数で考えれば問題ない」と言われる方もいらっしゃると思いますが、損失により投資資金が減少していれば、地合い、センチメントが悪化した場合の相場の特性を考えれば、やはり「取り返すことは難しい」と言えると思います。
「負けた分を同時間・同労力で取り返せる」との安易な発想は捨てた方がいい
昨年夏から「思うように株価(指数)が戻らない」という状況が続いていますが、これは「50%の下げを取り戻すために、100%の上げの力を要する」という相場の特性が働いているのも一因と思われます。
以前にも書きましたが、「上げ100日下げ3日」の相場の格言でも、相場で負けた金額を取り返すことがいかに難しいかということがうかがえます。(特に「買い」で負けた金額を、「買い」で取り返そうとすることは至難の技でしょう。)
負ける(自己の投資金額を相場で減らす)ことで済めば、まだいいのですが、最悪の場合、市場からの退場、破産もないとは言えません。 FX
相場における取り返す事の難しさを自覚して、取り組まなければ、下手なナンピン買いをしてポジションを増やし、更なる下げで、致命的に資産を減らす。取り返そうと、無理をして大切な生活資金までつぎ込み、更なる下げに巻き込まれ、将来の生活にまで不安を残す結果となる、ということも、残念ながら相場ではよくある話です。
十分な投資経験、知識、破産確率を加味しての資金コントロールができる方はともかく、投資初心者の方のおかれましては、少なくとも「負けた分を同時間・同労力で取り返せる」との安易な発想は捨てた方がいいでしょう。
大切な自己資産!負けた時、負けている時こそ、取り返すことの難しさを自覚し、破産確率を考え、無理をしない投資を心掛けたいものです。
個人投資家に思い入れのあるテクニカル分析
さまざまな分析手法があるのが相場ですが、個人投資家になじみの深いのはやはりテクニカル分析でしょう。
ファンダメンタルズ分析よりも、目に見える数字やグラフで判断することができるので、取っつきやすいということもあるのかもしれません。
取っつきやすく、判断ができる、そしてそれによって勝った経験がある個人投資家は、特にテクニカル分析を重視する傾向があります。人によってはテクニカル重視を通り越して、テクニカル信仰に走る方もいらっしゃいます。
結果がすべての相場の世界。「勝てばよし」であることは確かですが、しかし、それで勝ち続けられのかという疑問が生まれます。テクニカル分析で勝てたと言う(思う)個人投資家は多いですが、本当にテクニカル分析を正しく理解し、利用して勝てたのか、と考えたことがある個人投資家の方(特に初心者の方)は、少ないのではないでしょうか。
テクニカル指標は売買のタイミングを表しているのではない
勘違いしている方が多いのですが、テクニカル指標とは、統計的、科学的手法でもなんでもなく、単に現状を表した数字にすぎません。
テクニカル指標とは、「今の相場がどのような状態か」を示しているだけで、本来「売買のタイミングを示しているものではない」のです。
例えば、テクニカル指標が「過熱」を表しているとしましょう。RSIが70を超えたり、騰落レシオが120%に達したりした場合です。
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